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サクラのエリコ 第十七話「さよなら電気カミソリ」

ひとまず緋菜は夜に再度来るという事で帰宅した。
19時ね!とヒロミが念を押しながら見送ると、再び店内は静かになった。


「さぁて、アタシは帰るけどあんた達まだここにいる?」


ヒロミはアクビをしながら言った。
夜のお勤めをしている彼女にとって、そろそろオネムの時間に違いない。
エリコは、この鉄人にも睡眠が必要なのか、と当たり前の事を思いながらもなんだか迷惑をかけているようで申し訳ない気分になった。


「ヒロミちゃんさえよければ・・・いいかな?」


「うーん、でも私がいない間にもしもの事があったらねえ・・・」


右手で口紅を塗りながら、左手で電気カミソリを持ち、髭を剃り始めるヒロミ。
ミュィーン、ガリガリガリ。
芝刈り機のような音だけが店内に響く。どんなけ剛毛なんだろう。


「だよね、お店壊したら申し訳ないし」


カスミには”なにかあった時”店を壊さずに暴れる自信はないようだった。

「そうじゃないわよ。店よりあんた達が心配なのよ、私が居たらかばってあげられるけど…ガリガリリュオーン」


限界なのか、電気カミソリが断末摩に似た音を出しはじめた。


「私やっぱり行くわ、行かなきゃいけない所あるし」


「今はうろつかない方がいいわよ。外に見慣れない奴らがウロウロしてたし」


どうやら新宿方面までエリコ達が逃げてきていた事までは突き止められたようであった。


「どこに行きたいの?」


「あなた達には関係ないわ」


沙耶香の返事にチッ、とカスミが舌打ちをする。
エリコもちょっと腹が立ったが、このままの状況だとまずカスミの方が先に切れるのは時間の問題だろう。
ガキョキョキョキュー・・・ン
電気カミソリが情けない音を立てて停止した。


「アラヤダ!もう壊れちゃったわこの髭剃り!」


一瞬緊迫した空気を強引に断ち切るヒロミ。恐らくわざとだろう、客商売のプロらしい立ち振る舞いである。
GJヒロミチャン!とエリコは心の中で親指を立てる。


「もー今月3台目よこれ」


まだ今月半ばにも達してはいない。この計算だと一ヶ月で6台逝かすのか。


「仕方ないわねぇ。うちに来なさい、夜店開けるまで匿ってあげるわ」


ヒロミはフゥ、とため息を吐くと電気カミソリのコードを引き抜き本体に巻きつけた。


「え?ヒロミちゃんち?」


さすがにエリコもヒロミの自宅までは行った事がない。オカマの家ってどんなのだろうと好奇心が沸いた。

「で、どこの夜間保育園へいけばいいのお嬢さん。青葉保育園かしら」


「なぜぞれを・・・?」

驚いた顔つきで沙耶香がヒロミを見た。


「あら、青葉保育園まで図星だったかしら」


舌を出してケケケッと笑うヒロミ。


「青葉保育園?」


「夜の仕事してる親用の保育園だよ」


「なぜわかったの?」


「あんたのカバンから子供向けのタオルとか小物がチラッと見えたのよ。で、こんな時間まで預かってくれる融通の聞くところはこの辺じゃ青葉しかないもの」


「するどいわね」


「あんた子供がいるのね」


「ええ…娘がいるわ」


ええーっと驚くエリコとカスミ。
っと、いう事は鮫島の孫になるのか。



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