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Red_Cry 第八十三話 「無名一刀」


「モード参拾弐の型、無名一刀」


機械的な口調で眉刀が呟くと、ピリピリと微弱な電気のようなものが僕の体を駆け巡った。
痛みはないが、筋肉が痙攣するような錯覚を覚え、僕の体は上段の構えをとった。


「楽にして、あなたは恐怖心と拒絶心を捨てるだけでいい」


難しい事を言う。それって最後まで捨てられないものじゃないのだろうか?
しかし僕らが生き残るには、捨てなければいけないものだ。

僕は横たわるノロイ爺さんを見た。
詳しい事は知らない、何かを成し遂げるために命をかけた死者。
ヤタがよく話す、「普通の死者」とは違う気がする。


「きますよ、集中して!」


ニャアアアアアアアアアアア!!!

ヒキコは獣のような咆哮を上げると、一足飛びで襲い掛かってきた。
つまり、一撃で仕留める気だ。


「予想通り!発動・無名一刀"清流返し"」


僕の体は流れるような動きで、ヒキコの攻撃をギリギリかわす。
本当にミリ単位でかわしつつ、彼女の突き出した爪を、腕を、眉刀は絡めるように上段から下段へ、さらにそこから刀身を跳ね上げた。

カウンターだ、眉刀はカウンター技を狙ったのだ。

動きの速いヒキコにこちらから斬りかかるのはリスクが高い。
避けられたらこちらに大きな隙ができるからだ。
やはり数々の剣豪の手を渡り歩いて来たという話は本当らしい、眉刀は戦い慣れている。

ギャッス!!

折れた眉刀の刀身は、ヒキコの二の腕を切り裂く。


「ヤタ!飛べ!!」


さすがのヒキコもひるんだのか、傷口を押えて動きを止める。かなり深く入ったようだ。


「死ぬなよ!月歩!」


ヤタは包みを掴んで羽ばたいた。


キィィイヤアアアア!!


飛んでしまえばこっちのもの、そう思っていた。
ヒキコの跳躍力でも、ヤタの飛行能力を捉える事はできないだろうと。

しかしヒキコは信じられない行動にでた。
僕と眉刀の攻撃で切れ込みの入った二の腕を、力任せに引きちぎりヤタに向かって投げつけたのだ。


「カァーーー!」


飛び上った直後のヤタに見事クリティカルヒット。ヤタは情けなくベタッと地上に叩きつけられた。
引きちぎられたヒキコの腕は、別の生き物のようにガッチリとヤタの体を掴み、羽ばたけないように抑えつけている。


「ェエエエ!?タスケテェーー!テラキモス!!!」


剣の達人らしいノロイ爺さんと眉刀が勝てなかった訳だ。
強いうんぬんというより、本当の意味で化け物なのだこいつは。


ガタンゴトンと、上りの電車が徐行しながら僕らの横まで到達した。
この速度なら、ヤタを拾い上げて飛び乗れる。
しかしノロイ爺さんまでは無理だ。しかも追ってくるヒキコが暴れて電車の乗客を巻き込んでしまう可能性が高い。


万事急須か。


ヒキコは僕らの心が折れる音が聞こえたかの様に、ニタリと微笑んだ。
腕の傷口をベロリと舐めた口元が真っ赤に染まり、この世のものとは思えないくらいおぞましい微笑みだ。



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