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Red_Cry 第八十四話 「タタリ」


もうすぐ最後の車両が通り過ぎようとしている。

結局これに飛び乗る勇気もない。


自分の腕を引きちぎってもニヤニヤしてるやつに、これ以上の攻撃なんて意味をなすのか。


「次がラストチャンスですね」


「まだやんのかよ」


「さすがのヒキコでも頭を破壊されたら動けなくなるはずです」


「そら名案だな、俺も真っ二つにされそうだけど」


「申し訳ない、死んでください」


「簡単に言うなよ、もう死んでるんだぜ」


「アレはそこまでして守らなければならないのです」


「じゃあ死ぬ前にあの包みがなんだかくらい教えろ、意味のわからんもののために死ねるか」


意味もわからないまま死者になったのだけど、さらにまた意味のわからない死に方をするのはご免だ。
(正確にいうと消滅するのかな)


「あれは…ある御方の一部なのです」


「御方?」


「遙かな昔、あまりにも強い力を持ったために四肢を引き裂かれた死者…」


「なんだよそれ、そんなのがいるのか?」


「我々に死者として生きる道を指し示してくれた死者のカリスマです」


「ああ?誰なんだよそれ、そんなの聞いたことないぞ」


「カァー四肢を引き裂かれただと?!まさかその御方とは・・・」


ヤタはヒキコのちぎれた腕にがっちりと掴まれながら、悲鳴に似た声で言った。


「はい。カシマレイコ様です」


「カァーーーーー!!!」


絶叫するヤタ、ヒキコに掴まれた時よりも大きな叫び声を上げた。


「だれそれ?有名人?」


「伝説の死者だ、存在そのものが怪しまれたほどのな!で、ではこの包みは…」


「はい、引き裂かれたカシマレイコ様の左足です。我々は何としてもそれを彼女にお返ししなければいけない!」


わからん。知らない女の名前を出されても事の重大さがさっぱり感じとれん。
アカネさんのためだっていうならともかく、知らない女の人に義理はないんだけどな。


ソ ロ ソ ロ シ ネ エ エ エ エ エ エ エ


話に夢中になっていて、ヒキコが飛びかかる為に力を溜めていたのを見逃した。
しかしワンパターンなやつだ、飛びかかってくるならまたカウンターを当てやすい。
力と生命力は半端ないが、頭は悪いようだ。


パンッ


僕らが身構えた瞬間、ヒキコの眉間が炸裂音と共に小さく赤く弾けた。


ケ!?


パンッ パンッ パンッ


立て続けに炸裂音がすると、こめかみ、右目、左目と続けて赤く弾ける。
それが狙撃によるものだと認識するのに数秒かかった。

ヒキコは顔面の四か所から噴水の用に血を噴出させながら、ドォっと仰向けに倒れた。
あまりのあっさりとした最後に、僕らは訳も分からずポカンと立ち尽くすしかなかった。


「死者に銃撃!?タタリ!!タタリですね!!!」


「祟りとか意味わからん」


「祟りじゃなくて、タタリよ」


微妙なイントネーションの違いを、聞きなれない女の声が説明した。
通り過ぎて行く最後の車両の車体をすり抜け、一人の少女が降りたった。


「タタリーーーー♪」


眉刀は甘えたような歓喜の声を上げる。


「デカ包丁、なにグダグダやってんのさ」


タタリと呼ばれた救世主は、眉ひとつ動かさずに眉刀と僕を一瞥した。
目を強調した濃いメイク、必要以上に焼けた肌、クリクリに巻いたツインテール、
しってるぞ、ギャル系って種族だ、TVで見たことある、実在するんだ!

特に感動したわけでもないけど、初めて実際に目にするタイプの女性をまじまじと見てしまう。


「なにジロジロ見てんだよ」


「いや別になんでもないっす」


タタリはフンッ、と鼻を鳴らすと横たわるノロイ爺さんの傍でしゃがみ込んだ。
アカネさんとはまた違うタイプのSだきっと。

ノロイ爺さんの横で、無言のまま動かないタタリ。
この空気に耐えられなかった僕は、とりあえずヤタの体から動かなくなったヒキコの腕を外してやった。


「カァ…」

かなり疲弊しきったのだろう、ヤタはやっとこさ僕の肩に乗るとぐったりうなだれた。


「あのう…」


まだ動かないタタリの顔を覗き込むと、彼女は顔をクシャクシャにして泣いていた。
声を殺し、ただ大粒の涙がマスカラを溶かして顔に黒い筋をつけている。


「タタリ…すまない。ノロイを守れませんでした」


眉刀も泣き出しそうな声で言った。


「いい、あんたのせいじゃない。またどうせ無鉄砲に立ち向かったんだろこのジジイ…」


悪態をついているものの、それは愛する家族に向けて言ったように僕は感じた。

タタリはそっと、ノロイ爺さんの頭に手を載せると、なにかしら呪文のようなものをつぶやいた。
その途端、爺さんの体は光に包まれ、急激に縮んだかと思うと手のひらに収まる程の透明な球になった。


「なにをしたんだ?!」


「戦闘不能になった死者を運ぶために、魂の形に戻す術よ。そんなことも知らないの?」


知らねえよ。


「彼はまだ死者になったばかりの一般人です」


死者に一般人とかあるのか。


「カァ?お、おいオマエラ!」


ヤタが叫んだ方を見ると、そこに倒れていたはずのヒキコの死骸が消えていた。
ヤタを掴んでいた腕もない。
搔き消すようにヒキコは消えていた。


「しぶとい女ね。また復活したら追ってくるわ、さっさとここを離れましょう」


そう言うとタタリはノロイ爺さんの魂の球をポケットにしまい、長包みを拾い上げるとスタスタと歩きだした。



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