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平凡な猫日和


今朝の東京は雲一つない晴天です。
休日は朝の陽光の眩しさに目覚めるのが好きなので、カーテンを開け放して就寝するのだけど、今朝は陽射しで足元が暑くなり目が覚めた。
少しまどろんでいると郵便配達がチャイムを鳴らし、注文していた海外の薬を届けてくれた。
中身はわかっていたので封は切らずに畳の上に投げ出し、また二度寝の誘惑に身を委ねた。
しばらくして再び陽射しの強さに呻いてようやく起床する。
昨晩煮込んだ肉の入っていない、野菜ばかりのビーフシチューを温めなおし、昼飯に近い朝飯を食う。
醤油を入れすぎた、肉じゃがみたいな味だ、と思いながら昨晩書いたMixiの日記を読み返し一人赤面する。
一日の内に忘れてしまいたい事は何度かあるもので、それを消そうかと思ったが、自身の恥を隠すのは新しいポリシーに反すると諦め、ネットを通じてライター募集にいくつか応募する。
先程届いた郵便の封を開け、英語ばかりの解説書に辟易しながら薬を一粒飲み、コーヒーを入れ、さらにライターの仕事はないかとネットを探る。
コーヒーを飲み終えると風呂に入り、入り終わると洗い立てのジーンズと上着を一枚羽織り、鏡の前で髪を解く。
顔に微かに浮き出た赤い斑点に本日二度目の呻き声を発し、返却日を過ぎていた本を返しに図書館へ向かう。
ああ、布団を干しておこう。

歩きタバコという世間の道を外れた行為に悪びれる事なく晴天の中、図書館までの道のりをボンヤリと行く。
サングラスをしてきてよかった、かなり陽射しがきつい。
僕は団子鼻だからサングラスが似合わない。
しかし誰が気にする事もなかろうと利便性の理由のみでかけているから誰に気をつかう必要もない。

図書館に着くと広場でフラダンスの発表会をしていた。
弛んだ二の腕を振り揺らしながら、老齢の女性が南国のリズムに併せてゆったりとした振り付けで愛の唄を表現している。太極拳みたいだな、あははは。

受付で本を返却し、係りの女性に返却日を過ぎていた旨、優しく咎められて少しキュンとなる。
女性に優しく叱られるのはどうも弱い。
図書館の太宰治のラインナップの貧弱さにあきれ返りながら、「津軽通信」と「ヴィヨンの妻」を借り受ける。

帰りすがら、老齢の女性の化粧品の匂いにウンザリしながらまだ風邪の完治しない体を労わって肉でも食いに行こうかと思ったが、徒歩20分もかけて駅前に出るのが面倒になり諦める。
代わりにコンビニで焼肉弁当とビールを一本買う。ついでに牛乳を買おうと陳列棚に足を運んだが、種類が多すぎて数秒迷う。
牛乳なんて一種類あればいいんだと思う。仕方なく一番安いものを選び、会社から至急された食券で支払いを済ませる。この食券、本当は食料品だけにしか使用してはいけないのだが、このコンビニは酒もタバコも買えてしまうから便利だ。
そのまま帰宅はせず、数ヶ月前に我が盟友ロビンソンの亡骸を葬った公園へ向かう。
幸いだれもおらず、閑散とした雰囲気の中でベンチに座り弁当を開く。
高校の頃、散々惨めな思いをした公園一人ランチを思い出し、少し陰鬱な気持ちになったが、すぐさま寄ってきた野良猫の毛並みの美しさにそれもすぐに晴れる。
おまえに食べ物をやると近所の人に怒られるのだよ、と言ったがやはり猫には通じるわけも無くひたすら僕の目と膝の上の弁当を見比べていやがる。
それならばこうしよう、写真のモデルになってくれ。その報酬に肉を一切れやろうではないか、と携帯を取り出しパシャリ。中々役者だ、プロの顔だなコレは。
約束の肉の一切れを渡すと無我夢中で平らげ、口の周りを舐めながらまた僕の方を見る。
いや、もうだめだよ。俺の分がなくなるから。
そう言ったところでこやつには通じるわけも無く、再び愛らしいポーズなんか取り始めやがる。
その後二切れの肉と4枚の写真を交換して、ようやく諦めていただけた。

僕が弁当を食べ終えて、ビールとタバコを吸いながら「ヴィヨンの妻」を読み始めると、やつはベンチの横に座り、食後の休憩を取っている風であった。なかなか肝の据わった御仁でござる。
猫と世間話をする中年の男に、通りすがりの主婦が奇異の目を向けて去っていくのがわかる。
昼間から酒を飲みながらタバコを吹かし、文庫本片手に猫と会話しているのだからそりゃあ無職の世捨て人に見えただろう。
しかし奥さん、今日は祝日。サラリーマンだって休みの日くらい世を捨てたいのですよ。
ヴィヨンの妻に納められていた「親友交観」を読み終えた頃には、猫もベンチからいなくなり、日の当る場所に移動して涅槃の姿でくつろいでいた。
少し肌寒くなってきた午後三時。
先客が撒き散らしたタバコの吸殻を広い集め、こんなことをするから愛煙家が肩身の狭い思いをするのだとぼやく。
帰りすがら、先ほどのコンビニのゴミ箱に弁当の残骸を捨て、家路に着く。
無人の玄関先を占領していたアパートの主が慌ててベランダに逃げ込むさまに、今日は猫日和だなと笑いながら自室の鍵を開け帰宅。

日差しの溜まった部屋は暖かく眠気を誘う。
昨晩のうちに原稿は校了したので、特に急ぎの用事もなく買ってきた牛乳でカフェオレを作り、またタバコに火をつける。

左目が良く見えないが最近は珍しくもない事なので、寝れば直ると干していた布団を取り入れ、横たわる。

嗚呼、充実感も不足感もない平凡な一日だった。

夜になったら小説の続きでも書いて、微かな充実感を補おう。

あと、好きな人ができてその人と家庭が持てたら猫を飼おう。

おやすみなさい。



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